エベレストの標高5,500m地点で死の淵をさまよった登山家社員の人生哲学が達観しすぎていた

       
 

こんにちは、業務委託社員の中山です。

転職を検討している人が会社の雰囲気を知るために読む「社員インタビュー」ってコンテンツ、ありますよね。身も蓋もないこと言いますが、ぶっちゃけ参考にならないことが多くないですか?

会社の良い部分を語るのは良いんです。だってアピールしたいんですから。私が気になるのは社員が構えすぎてて「素が見えない」点。社員同士なのに妙に改まって敬語で話したり、キラキラさせようって演出が見え隠れすると興ざめします。

「御社の素を見せてくれよ!カッコつけなくていいんだよ!」
「ありのままの姿を、背伸びせずに語ってくれよ!」

と思うわけです。

そんな前フリで己のハードルを上げてしまったんですが、ユーティルの社員(松田さん)を紹介します。冬山登山が趣味のアラフォー男性で人生哲学がユニーク過ぎるのです。
まあコーヒーでも飲みながら読んでください。

■登場人物

<松田さん>
ユーティル社員。趣味は冬山登山。暖かい季節は「人も虫も多いから」という理由で避け、あえて危険の多い冬山登山を好む。体力ありすぎ。

<中山>
ユーティルの業務委託社員。今回のインタビュアー。松田さんとは3年の付き合いになる。
中山について詳しくはこちら:下戸なのに必ずユーティルの飲み会に参加するコンテンツ伝道師に魅力を聞いてみた

ユーティルはベンチャーだが不安はなかった?

中山:松田さんってユーティルの3人目の社員ですよね?そんな超零細への入社で不安はなかった?

松田:少人数のほうが経験が積めてスキルが養えるから、むしろ好都合って思いました。倒産とか合併の可能性なんて気にしたこともないです。

中山:でも、潰れる可能性は大企業より高いでしょう。

松田:それ言ったら、僕が山で死ぬ可能性のほうがよほど高いので(笑)。

中山:山のリスクからしたら倒産や吸収合併は屁でもない?

松田:ですね。前職の話なんですが、その会社の入社前日に富士山に登ってきたんです。雪山なので一面アイスバーンです。富士山って独立峰で周囲に山がなく、木もないから風をもろに受けます。その日は風速30mだったかな…台風よりちょっと弱い程度ですが足を滑らせたら氷の斜面を一気に滑落して死にます。

中山:想像しただけでちびりそう…。

松田:強風って吹いたりやんだりを繰り返すので、油断すると体ごと持っていかれます。しかも傾斜で足元は不安定。当日は風が強すぎて誰も登っていませんでした。先輩と2人で向かったんですが、先輩は風を理由に途中で下山してしまった。でも僕は単独で登頂しました。

中山:なんで????危険すぎるでしょ?しかも翌日に新天地の入社を控えて??

松田:1年間登山を封印するつもりだったから、どうしても引き返したくなくて。転職して1年間は仕事に打ち込むって決めたので、その日は登りおさめだったんです。

中山:だとしてもすごいな…松田さんって不安を感じるセンサーがバカになってない?不安ってちゃんと感じます?

松田:人生において不安はないし、ストレスはゼロ。むしろ刺激がほしいって常に思ってます。あ、でも命の危険は察知するし、無鉄砲じゃないですよ。その日の富士山ではちょっと無理しましたが、普段はビビリです。だから生きて下山できているわけです。

中山:ある意味、羨ましいな。

松田:ルパン三世の『一度きりの人生。怖いのは、死ぬことじゃなくて、退屈なこと』って言葉が好きなんです。ルパンってトラブルや事件さえも楽しむポジティブシンキングじゃないですか。彼の姿勢で自分もいようって思ってます。

ユーティル入社の決め手になったのは何?

松田:中山さんが岩田さん(代表)に紹介してくれたから。中山さんの紹介なら変な会社じゃないはずって信じられたので、それで決めましたよ。

中山:岩田さんと会ってみてどうだった?

松田:コンテンツ制作やライティングは慣れていたけど、ウェブのテクニカルな面は得意じゃなかったです。それを正直に伝えたら「知識は後からでも身に付けられる。良いコンテンツを作れる人であれば大丈夫」って言ってくれました。それであれば自分の熱量で貢献できる自信はありました。

※オレンジジュースをパックのママ飲むのが松田流

中山:入社後のギャップは?いい意味と悪い意味の両方で。

松田:それが……悪いギャップはゼロなんですよ…。いや、ほんと。色んな仕事を任せてくれるし、新しいチャレンジも多い。あ、ただ社内専属のライターが少ないって入社前に聞いたとき、記事の質は大丈夫?って心配にはなりました。でもWeb幹事を読んだら質が高くて驚きましたね。外部ライターって質が低い記事を量産するってイメージが強かったので。スキルの高いライターさんとお仕事しているんだなと思いました。

仕事の進め方とか会社のルールはどんなかんじ?

松田:とにかく自由。タイムカードはなくてリモートOK。朝に雨が降っていたら自宅勤務して、やんだらオフィスに行くってこともふつう。Slackでつながっているのでコミュニケーションはいつでもどこでも取れます。朝礼もないし、マネジメントがほぼ存在しない(笑)。

中山:自由さって「自己責任」だから、裏返すと厳しさもあるってことだよね。

松田:プロスポーツ選手のようなもので結果は出さないと。任せてくれる分、プロ意識は求められます。指示を待つ作業者ではダメ。自発的に動けること。ユーティルの社員って、一人ひとりがフリーランスのマインドを持っている気がします。

中山:ユーティルの社員が会社に依存してないってのは自分も思う。適度な距離感を持った関係性っていうのかな。いざとなったら自分でなんとかするんだろうな。

※松田さん専用スタンディングデスク?

死と隣合わせの冬山登山をしていると人生観ってどう変わる?

松田:人生観・キャリア観でいうと、お金や地位は重要視しなくなりました。結果として収入が上がる、立場が上になるってのはあるんだろうけど、それよりも「人の役に立ちたい、世の中に貢献したい」って気持ちが強い。こういう場で言うことじゃないかもだけど、仕事が好きすぎて、つい休日も仕事してしまうこともありますね(汗)。

中山:安定はどう?一箇所で落ち着いて仕事するとか、そこに骨を埋める的な考えは?

松田:ないです。安定は良い側面もあるけど、面白くないって考えてしまう。人生は刺激が多いほうが楽しいじゃないですか。人生の優先順位で一番上に来るのが楽しいかどうか。退屈からは全力で逃げる。

中山:じゃあ、転職も気軽に考えるでしょ?

松田:ええ、引っ越し感覚です。つまらないと感じたら他に行きます。うーん、こんなことここで語っていいのかな…(笑)。

中山:登山の話に戻すけど、リスクを取るか撤退するかのジャッジの基準って何?

松田:そこは他の登山家と同じで普通です。雨は滑りやすいので危険。風や霧の状態、行程と時間、自分の実力で行けるルートかどうか…で総合的に判断します。自分の力を知っているので無茶はしません。基本はビビリです。あと、単独での登山が多いので全部自分でやる、最終的には自己責任でトラブルは自分で解決するって覚悟を持つ…ですかね。

人生で最も死に近かったのはいつ?どこ?

松田:エベレストの標高5,500メートル地点で高山病にかかったときです。人が住めるギリギリの標高(定住限界)って言われるのが5,500メートルで、日本では経験できない人生初の場所に体が耐えきれず、あのときは死の淵をさまよいました。

中山:高山病って重度だとやっぱ死ぬことある?

松田:余裕であります。血中酸素飽和度って数値があって、正常値で99~96%で、フルマラソン直後とかだと40%にまで下がるんですが、私は18%になりまして。

中山:どう考えてもその数値はやばい。

※血中酸素飽和度

パルスオキシメーターという機器で計測する。血中酸素飽和度が93%以下は「正常よりは体の中の酸素が少ない」状態で、90%以下は「呼吸不全」となる。75%で「心虚血性変化をもたらす危険性」があり、50%になると「意識障害や昏睡状態にいたる危険性」がある。


松田:医者から「お前は医学的には死んでいた。生還できたのは奇跡だ」と言われました。自分でもなぜ生きながらえたのかわからない。普通はそのまま目が覚めずに死ぬパターンです。自分でも「これはやばい」と思って、とりあえず大量に水を飲んで腹式呼吸したら35まで戻りました。まだそれでも危険領域だったんですが

中山:それは大変。で、体力の回復を待って下山した…と。

松田:いえ、パーティには残りました。

中山:なんで!?なにやってんの!!命あっての物種でしょ!!

松田:せっかくここまできて、逃げるのはありえんって思いました。だって日本では絶対できない経験ですよ?逃げたら一生後悔する。「松田を下山させるべきか否かの会議」が行われたとき、40だったけど「50あるから大丈夫」って嘘ついて残りました。

中山:マジか…(ため息)。

松田:ただし、万が一の事があるとパーティに迷惑がかかるので、そのあと1日6リットル以上の水をガブ飲みして酸素を取り入れ、高い丘まで登って高所に身体を慣らして本当に50以上に回復はさせました。

でも、ひとつ悔いていることがあって、パルスオキシメーターのディスプレイの18の数字を撮影し忘れたんですよ。死にかけた武勇伝を話すのが登山家あるあるなのに、意識朦朧だったとはいえ証拠写真を撮り忘れるとは…一生の不覚でした(笑)。

エベレストの体験後、生き方・価値観はどうなった?

松田:大げさに感じるかもですが、人間って眠ったまま死ぬこともあるわけで、生きていることの素晴らしさを毎朝実感します。

中山:血中酸素飽和度が18%まで下がって死にかけた人の言葉だから説得力が高い……ところで、将来のことを考えたり計画は立てる派?

松田:3年くらい先のことは考えるけど、それ以上はどうなるかわからないです。先のことは決めないし、今の仕事が面白くなくなれば他の仕事をするだけ。そもそも5年後は死んでいるかもしれないので、細かく決めてもしょうがないかなと。

中山:なんか達観してるなあ。

松田:自然を相手にしているからだと思うんですが、人間は自然を変えられないでしょう?そのまま受け入れて環境に適応するしかないんですよ。それと同じで、会社やヒト等の周りを変えるより自分が変わるほうが得るものが多いって割り切ってますね。

中山:貴重な話をありがとう!山では自分の命を最優先で行動してね!(マジで)

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