年間1.5万人の中小企業社長の相談を受け続けて感じる、BPO×AIってやばいんじゃないか、という話
DX領域のNo1プラットフォームを目指し、Webに関する相談カウンター「Web幹事」やシステムに関する相談カウンター「システム幹事」を運営している株式会社ユーティル。
今回は、ユーティルのことではなく、これからの業界について。「AIでBPOの産業構造が変わる」をテーマに、代表の岩田に語ってもらいました。
■2〜3年後にはBPO×AIがメインどころになる
──そもそも今回、BPOとAIというテーマをピックアップしたのはなぜですか?
ユーティルの事業戦略が、この文脈に沿っているからです。
幹事シリーズに来ていただいた方に対して、僕らが自社サービスとして何かを提供するとなったときに「じゃあ何を提供するか」という部分は随時考えているのですが、他の会社がしていることを同じように僕らがやっても差別化のポイントがないし、幹事シリーズに集客を依存する形になってしまうと思っているんですよね。
なので、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、新規事業というところでどういったバリューが出せるのかについてはかなり考えています。その中で、AIを使ったBPOが今後のスタンダードになるし、2〜3年後にはメインどころになっているのではないかと感じているので、そこをあらかじめ張っておくことが重要かなと思っているところです。
──ただ、BPOは市場としては大きいですが、派手さはあまりないですよね。
はい、BPOはユーティルっぽくて好きです。
というのも、ユーティルがやりたいことは、日本全体の生産性を上げていくこと。その中でも中小企業の生産性を上げていくことは重要であり、BPOの存在そのものが、生産性を上げる性質だと思っているからです。
例えば、小さな会社が10社あり、そこに一人ずつ経理担当がいるとします。そこを僕らが10社の経理業務をバンドリングしてしまえば5人で済むと。空いた5人には、別のことや、自分のやりたいことをしてもらうことで、結果的に世の中の生産性が上がると思います。
ノンコア業務をバンドリングするのは社会的にも意味があるし、結構好きなんです。
──では、具体的にBPOにはどういったものが含まれているのでしょう?
BPOという言葉は難しくて、僕もまだセンスは良くないと思いながら使ってしまっているのですが…。BPOは、企業の一部の業務を切り出し、アウトソースしましょうという思想ですよね。基本的には、ノンコア業務の切り出しが多いです。
僕の中でやりたい新規事業には3つのテーマがありまして、そのひとつが「AI」。自分たちで開発をしていく選択肢はないので、AIの活用に力を入れていきます。
2つ目が「人口減」。日本では人が減っていくので、日本全体の最適なリアロケーションは当然必要になりますし、その中で人材はとても重要な産業だと思っているので、面白そうだなと興味を持っています。
そして最後が「情報システム」。デジタル化をもって企業の生産性を上げていこうというユーティルのコアに沿っているものでもあります。
この3つが、僕の中で今後、事業戦略(新規事業やM&A)での条件になると考えています。
■AIの時代が実現したら「価格の安さ」と「速さ」が大きなインパクトに
──今、テーマの中で「AI」が出てきましたが、AIと言っても幅広い種類がありますよね。岩田さんの中では、AIに対してどういうイメージを持っているのでしょうか?
前提として言っておきたいのですが、僕はAIの専門家ではありません! 技術領域に興味があるということではなく、AIが今までとは比べものにならないぐらいさまざまな業務をリプレースする流れがこの数年で来るなという感覚があって、そこにベットしたいという気持ちが大きいです。
既に「これやらなくて済むよね」というものがたくさん出て来ていますし、昔の文脈で言うと、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も近いと思います。ロボットがノンコアな作業をやるというものが出てきていますが、RPAが人の手で進化するのに対し、AIは自律的に進化していくじゃないですか。人がテクノロジーを使ってプロダクトを作るのの数十倍のスピードで進化していくと言われていますし。
そして、BPOとAIの相性がいいと言っているのは、ノンコア業務は代替性が高いので、いち早くAIが代われる領域だと考えているからです。その未来は割と近くにある気がしています。
潮目が変わったのは生成AIの登場からですね。例えばOCR(光学文字認識)とかはロボットに近くて、生成AIはもっと自律的。そこが興味を持ったきっかけですね。スタートアップの経営者として気付くタイミングは遅かったと思いますけど。
──では、BPOにAIという要素が組み合わさったとき、そのインパクトはどういったものだと考えていますか?
先ほどの例え話でいくと、1社に一人経理担当がいたのが、BPOで「5人で回せるよ」という時代になったと。AIはそれを「0人で出来ます」としてしまう世界なんですよね。
これまでは、5人で出来るところを「4.5人で出来ます」「4.4人で出来ます」と価格競争をしていたのが、「ゼロです」とディスラプトしてしまう時代がすぐそこまで来ていると思っています。
「価格の安さ」と「速さ」が大きなインパクトになると思います。この2つが人が再現できないレベルで起こるので、産業構造が変わっていくでしょう。
そして、開発においても近いことが起こるはずです。価格の安い人たちに作ってもらうことで安く提供できていたのが、そもそも人じゃなくなるので、オフショアやニアショアも必要なくなると思いますよ。
そして、産業構造が変わるのはもちろん、コスト構造が全く変わると思います。
なぜオンプレミスが主流の時代にSMBにいい物が行き渡っていなかったかというと、やはり採算が合わないからなんです。そしてSaaSというソフトウェアがそれを担うようになりました。以前はオンプレミスのサーバーでサーバールームを作らないといけなかったのが、サーバーがクラウド化して手軽に使えるようになったと。
ただ、今特に日本国内のSaaSではエンタープライズシフトが起こっています。ソフトウェアを小さくして中小企業に安く使えるようにしたものの、やはり採算が合わないと気づいたわけです。
それをAIは「ノーコストです!」とズバッとコスト構造を変えていくので、いよいよSMBに採算が合うレベルで提供できるようになるのではないかと思っています。これは僕の中であくまでも仮説の段階ですが、ここにベットしておきたいなと。
──BPOという、今人がやっていることがAIに置き換わるのもそうですし、BPOの人たちが使っているSaaSを使う人・改良する人もAIに置き換わっていくということですか?
さらにロングトレンドで言うと、SaaSそのものがAIで置き換わると思っています。
そして、産業革命での馬車と車の話や蒸気機関の話などのように、置き換わる・置き換わらないではなく、別のものになる、手法がまるっと変わるという話なんですよね。
才能もあるし努力もするけど引き出しがない中小企業に渡して事業が花開いたり、大企業に成長することを目指したいと思っています。それが日本のためになります。
AIが来た時に10人の経理担当はどうするんだという話なのですが、他の仕事をもっとやりたい人はやればいいし、「だったら働かないわ」という人はもう働かなくてもいいよという社会にした方がいいと思うんですよね。
なので、そういった時代が来る中で、働く人はどうすべきかというと、「働きたくないなら働かなくていいんじゃない」と個人的には思います。それでも何かを成すことに面白みを感じてる人が、“成す”ことにフルフォーカスできる世の中になるのが、多分一番いい。社会的生産性も高いし、みんな幸せだと思います。
──では、会社としてはそういった時代の変化に対してどうすべきだと思いますか?
僕も含めた全ての経営者がまず考えなければいけないのは、「一体この会社の事業資産はなんだろう」という話だと思います。
そして、それを今後どうやって生かしていくか、どう作っていくか、AIをどう生かしてドライブさせるかという話です。ただこれはhowの話なので、究極は、AIの時代において「何をしたいんだっけ?」を再定義すること。会社を作っていく人が考えなくてはならないのはそこかなと思います。
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